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日外アソシエーツの出版物で、雑誌や新聞に掲載された書評や、著編者による自著紹介を記したブログです。

   
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週刊読書人 2008.8.8 新刊紹介
装いのアーカイブズ平井 紀子著
装いのアーカイブズ

―ヨーロッパの宮廷・騎士・農漁民・祝祭・伝統衣装
2008年5月刊
定価3,360円(本体3,200円)
A5・250頁 ISBN978-4-8169-2103-2

 1960年代から40年にわたって、文化女子大学図書館に勤務してきた著者が、中世から近代ヨーロッパの服飾の歴史を紹介する。王侯貴族の着用した宮廷服に加えて、民間の人々の服装を並列することにより、衣装・衣服文化全般を把握することができる。因みに、文化女子大学を含む文化学園は、1923年に文化裁縫女学校として設立され、現在まで、多くのデザイナー、服飾評論家などを輩出してきた、服飾の普及と専門教育を目標に掲げてきた学校である。それゆえ、その付属図書館は、世界を見渡してみても、有数の服飾専門図書館であり、所蔵する資料も貴重なものが多い。

 著者はまえがきで、こう述べている。「服飾の歴史は、まさに人間そのものの歴史ともいえます」。そして「『衣』というフィルターを通して『人間の文化』を見つめなおしてみたい」と。

 取り上げられた図版は60点。巻頭は、フランス王妃マリー・アントワネットの宮廷用盛装にはじまる。服飾版画の代表として知られる図版集『ギャルリー・デ・モード』から選ばれている。劇画『ベルサイユのばら』などでよく見る、スカートが横に膨らみ、豪華な刺繍が施された衣装である。この時代、「マリー・アントワネットがモードの実権を握り、彼女の気まぐれから作られる衣装はフランスのモードとなってヨーロッパ中を風靡した」という。この幅広のスカートは、座席に座る時に、通常の三倍から四倍の場所が必要となり、しばしば「争いの種」にもなった。

 また、ジャンヌ・ダルクの軍服なども掲載されている。美少女として描かれることが多いジャンヌ・ダルクだが、実際には、重い鉄製の甲冑を身につけて、戦場を駆け回っていたことから、「頑強な女性であったはず」と推理する。

 その他、祝祭服や農民服、スポーツ服等を取り上げているが、図像を見ているだけでも、興味深い一冊である。(日外アソシエーツ A5判・255頁・3360円)

                           「週刊読書人」2008.8.8(第2750号)より転載
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