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日外アソシエーツの出版物で、雑誌や新聞に掲載された書評や、著編者による自著紹介を記したブログです。

   
マイ ライフ イズ マイ ライン―My Life is My Line
墨線 加藤光峰の世界墨線 加藤光峰の世界
 ―筆墨心画集 甲骨文字・金文に魅せられて
加藤光峰〔著〕 2008年2月刊
定価9,660円(本体9,200円)
A4変型・190頁
ISBN978-4-8169-2090-5


著者からのメッセージ
マイ ライフ イズ マイ ライン―MY LIFE IS MY LINE

 私が甲骨文字とか金文に興味を待ち始めたのは昭和三十年代、学生時代の頃です。当時、それらを学問的に研究されていたのは先年お亡くなりになった白川静先生や島邦男先生といった学者たちでした。私の場合、そうした古代文字だけでなく、それらを使っていた殷や周といった中国古代の人々の暮らしぶりや考え方をもっと知りたいと思いました。彼らの過酷な現実や運命に立ち向かう人間としてのエネルギーに興味を持ったのです。

 それともう一つは、十八、九歳の頃から専門的に書の芸術をやりたいと思っていました。私の師匠にあたる桑原翠邦先生は歴代の明蹟をつぶさに臨書するという原典主義を貫いた書家でしたが、私は書をやるならこれまで誰もがやっていないジャンルを開拓したいと思いました。

 甲骨文字・金文もすでに中国の清朝末期から中華民国にかけていくつかの研究や書作はありました。しかし、私はそうした先人たちの作品を反復臨書するのではなく、直接的に甲骨文・金文に取り組むべきだと思い、古代人のプリミティブな感情を体得するには、まずそれらの文字群から発せられるメッセージを聴きとるのが最短であり最良の方法だと考えました。

 古来、芸術家といわれる人々はみな自分の専門ジャンルを持っています。書の芸術をめざすなら自分も甲骨文・金文の専門家になるしかありません。甲骨文字は亀の甲羅や獣骨に彫られたものですし、金文は大きな青銅器に鋳込んだり刻られたりしたものです。つまり、立体物です。しかし、私がやろうとするのはそうした骨や金属や石に刻るのではなく、筆と墨で紙に書くことによっていかにして三次元的な空間を表現するかという仕事でした。これまで誰もやったことがない新しい芸術の世界、即ちファインアートを創造するために私がクリエイトしていく技法とセンスと芸術志向を訴えていくことだと思いました。

 書は「眼で聴くリズム」が大事だと思います。楷書、行書、草書、隷書、篆書、みなそれぞれリズムを持っています。しかし、さらに分析すれば各体それぞれ四つか五つのキャラクターに分類できるのです。書道には古典の教則本がたくさんありますが、そうした様式や時代ごとの古典作風のキャラクターをつかむと臨書がもっと豊かに楽しくなるはずです。

 書をやる上で何よりも肝心なことは、書の線質をどのように考え、作家自身の何を表現したいのかということです。私は文字の源泉から人間の内面律を学び取りたいと願っています。そのためにはできるだけ幅広く、そして奥深い「芸術的想像力と思索力」を身につけたい。古代文字はもっともシンプルな形体でしかも格調を兼ね備えています。また、私には人間の普遍的な美意識とエネルギーが強く感じられます。それらが私の制作意欲を大いに駆り立ててくれますし、昨今では私の生きる意味まで教え導いてくれる存在として感謝の念すら覚えているのです。(加藤光峰)

<書21 2008年30号 (匠出版 2008年4月1日発行) 99頁より転載>
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