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日外アソシエーツの出版物で、雑誌や新聞に掲載された書評や、著編者による自著紹介を記したブログです。

   
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確実な説明責任を果たすための“記録管理”
 <なぜこの本を書いたのか、この本でいいたかったこと>

 ここ数年、官民を問わず記録の不適切な取り扱いに関連した組織の不祥事が目立つ。その中の代表的なものが社会保険庁の年金記録の事件である。当初、5000万件の「宙に浮いた記録」問題が発覚して以来、最近も新たな改竄の事実が明らかになるなど解決の目途すら立っていない。このような問題が起こるのは基本的に日本の組織にはきちんとした記録管理が根付いていない証拠といえる。その点官庁はいうに及ばず、大抵の企業で、本格的な記録管理を実施している欧米に大きく後れを取っている。欧米では組織全体の記録管理に責任を有する記録管理の専門職(レコードマネジャー)がいて、組織の記録管理方針・規則・手順作りから実行・監査までのすべてのプロセスを統括している。

 しかしながら日本の組織ではこのような記録管理の専門職はほとんど存在しない。そのために文書管理規定はあっても形骸化しているところが大部分だ。このような状況を改善するためには、まずなぜ組織がきちんとした記録管理を行わねばならないかという理由を知ってもらう必要がある。この点を伝えたかったのが、この本を書いた理由である。

 <今、なぜ記録管理なのか―組織のトップがかかわるべき重要事項>

 それは組織の置かれている環境が大きく変わったからだ。そのために記録管理も大きく変わらねばならない。これが記録管理のパラダイムシフトだ。つまり従来の内部管理のためだけの文書管理から、外部への説明責任のための記録管理への転換である。

 これは従来の効率第一主義、文書整理的な手順中心のファイリングシステムから、コンプライアンスに対応し、「説明責任」(アカウンタビリティ)を果たすための記録管理へ、という変化を意味している。官では情報公開法による説明責任、企業では新会社法や金融商品取引法の内部統制が求める説明責任が代表的なものだ。このように今や、コンプライアンスと説明責任が新しい記録管理の目的となってきたのである。このほかに重要なのが、知識資産の活用すなわちナレッジ・マネジメントのための記録管理とリスク・マネジメントのための記録管理である。何のために記録管理を行わねばならないのか、それはこの三つの新しい目的を果たすためである。

 この本は、グローバルスタンダードにのっとった記録管理の方法論にも言及はしているが、よくあるファイリングシステムのハウ・ツー本ではない。従ってこの本を読んでいただきたい人は、経営者であり、組織の管理職である。何といっても、本格的な記録管理はトップダウンでなければ実行できないからである。

 <国の働き>

 国の公文書管理改革の動きがようやく進み始めた。福田前首相の肝いりで発足した「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」(座長:尾崎護氏)が最終報告書「時を貫く記録としての公文書管理の在り方~今、国家事業として取り組む~」を昨年11月4日に提出した。近く開かれる通常国会に公文書管理法案(仮称)が提出される予定である。その中では公文書管理が民主主義の基盤であり、国の説明責任を果たすために必要不可欠であることおよび公文書管理の基本方策がうたわれるはずである。

 ◇    ◇

 日本の記録管理の問題点を説き起こし、説明責任と文書管理、国際基準、内部統制の整備、情報公開法、情報セキュリティー対策など、近年、官民問わず組織で発生しているさまざまな不祥事を例に引き、現状と今後の課題をわかりやすく説明。

著者・小谷允志(こたに・まさし)氏
記録管理学会会長、日本レコードマネジメントレコードマネジメント研究所所長

                        「フジサンケイ ビジネスi.」2009.1.19号より転載

21377.jpg今、なぜ記録管理なのか=記録管理のパラダイムシフト
―コンプライアンスと説明責任のために

小谷允志〔著〕 2008年9月刊
定価3,675円(本体3,500円)
A5・260頁
978-4-8169-2137-7
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