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日外アソシエーツの出版物で、雑誌や新聞に掲載された書評や、著編者による自著紹介を記したブログです。

   
福音宣教2008年4月号に載りました!
20707.jpg須賀敦子と9人のレリギオ―カトリシズムと昭和の精神史
 神谷光信著 2007年11月刊
 定価3,800円(本体3,619円)
 四六判・220頁 ISBN978-4-8169-2070-7
 案内サイト:
 http://www.nichigai.co.jp/sales/2070-7.html

【この一冊】
須賀敦子と9人のレリギオ―カトリシズムと昭和の精神史』神谷光信 著
日外アソシエーツ 3919円+税
坂本 耕太郎

 須賀敦子の著作は少ない。私の場合は『トリエステの坂道』が最初の出会いであった。ある詩人のふるさと、トリエステという町に行った話ではあるが、丁寧な語り口と独特の表現は、まるで目をつぶってビロードの布地をゆっくりとなでるような、そんな感覚の文章である。ご本人の著作が少ない。ましてや、すでに帰天されて新しい作品は世に出ないと思うと、「須賀敦子」ファンにとっては、彼女の名前をタイトルに掲げた本には、つい目がとまる。

 『須賀敦子と9人のレリギオ』と題されたこの評論の著者、神谷氏ご自身は、クリスチャンであるかどうかさだかではないが、キリスト教をよく学んでおられるようで、以前、正教徒の詩人の方の評論も発表なさっていたとのことである。

 さて、本書のタイトルに、あえて「レリギオ」という用語を用いた、その理由はいろいろあるのだろうが、これはあくまで私の憶測であるが、カトリックでははっきり「信仰」と表現するこの言葉をタイトルに使用すると、なにかの不都合な点もあったのだろうか。そうまでしても、須賀敦子を含めて、犬養道子、皇后陛下、村上陽一郎、井上洋治、小川国夫、小野寺功、高田博厚、芹沢光治良、岩下壮一の、都合十人の人生について、ローマ・カトリックという視点で読み解こうとする神谷氏の心の底には、常に「なぜ」という通奏低音が響いているようである。信仰は不思議なもので、時には「馬鹿げた」もののようである。

 「信仰」は、教会の中ではよく使用される言葉であるが、日本の一般社会ではほとんど使わない単語であるということも、あらためて考えさせられた。それこそ「信仰」を持たない人にとっては、未知との遭遇なのだろう。本の帯には、「神とともにある人生」と記されている。信じて生きる人びとの輝きを探る視点は、日本のカトリック教会の現状を把握する上でも貴重な一冊といえる。

(さかもと・こうたろう/新潟教区神学生)

<福音宣教 2008年4月号 15頁より転載 (オリエンス宗教研究所発行)>
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