日外アソシエーツの出版物で、雑誌や新聞に掲載された書評や、著編者による自著紹介を記したブログです。
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「新風」2013年7・8月号
『出版文化人物事典─江戸から近現代・出版人1600人』が、書店新風会会報「新風」2013年7・8月号で紹介されました。レビュアーは、植田 康夫氏です。〔出版こもれび 連載第288回 植田 康夫「手許に置きたくなる『出版文化人物事典』」 p.6-7〕
『出版文化人物事典─江戸から近現代・出版人1600人』
稲岡勝〔監修〕 A5・550p 2013.6刊
定価14,910円(本体14,200円)
ISBN:978-4-8169-2417-0
詳細はこちら
これまで、各種のデータベースとなる書籍を刊行してきた日外アソシエーツが、出版文化にたずさわった人物を紹介した稲岡勝監修『出版文化人物事典 江戸から近現代・出版人1600人』を刊行し、紀伊國屋書店から発行した。A5判534頁の体裁で14910円の定価(税込)である。この事典は副題にあるように、江戸から現代に至る出版人1638人を収録しているが、出版社の創業者・経営者、編集者から、取次・小売・印刷、古書・装丁・特装本制作・検閲まで幅広く収録し、生没年、経歴、受賞歴などのプロフィールに加え、一部の人物には参考文献を掲載している。
収録されているのは、いずれも物故者ばかりであるが、出版に関する人物事典としては、1996年に出版ニュース社から鈴木徹造著『出版人物事典』が刊行されているが、この事典は6百余名が収録されていた。だから、今度刊行された『出版文化人物事典』は、それよりも1千名も多く収録されていることになるが、そのためにこの事典はこれまであまり知られていない出版人も数多く紹介され、それらの人物がよくしられた出版人とまじりあうように掲載されている。
たとえば、〔あ〕の項目を引くと、青地晨(あおち・しん)その次に青戸陸子(あおと・むつこ)の名前があり読書人取締役という肩書に続けて、こんなプロフィールが記載されている。
〈〔生年月日〕昭和8年(1933年)4月8日/〔没年月日〕平成22年(2010年)9月5日/昭和33年書評誌「週刊読書人」の創刊に参加、長く現場の責任者として同社を支えた。平成6年読書人取締役〉
ちなみに、読書人関係では、初代編集長の巌谷大四(いわや・だいし)、専務だった橘経雄(たちばな・つねお)、2代目編集長の長岡光郎(ながおか・みつろう)などが収録されており、きめ細かな目配りがされていることがわかる。
読書人関係の出版人について紹介したのは、私自身が、この会社と関わりがあるからだが、もちろん、この事典には、出版人として有名な人も網羅されている。その中には、〔き〕の項目で登場する菊池寛(きくち・かん)などもいる。彼は流行作家になって以後、大正12年「文藝春秋」を創刊して、〈それまで版元の頤使に甘んじてきた文学者たちに独立した活躍の場を与えるとともに斬新な編集手法と内容で当時のジャーナリズムに多大な衝撃と影響を与えた〉とプロフィールで紹介されている。
文藝春秋関係では菊池の他に池島信平(いけじま・しんぺい)、上林吾郎(かんばやし・ごろう)、千葉源藏(ちば・げんぞう)、永井龍男(ながい・たつお)なども取り上げられているが、この事典では、同じ出版社に係わった人物を紹介することも行っている。たとえば、講談社、新潮社、小学館などは経営が世襲制であるから、講談社は野間家、新潮社は佐藤家、小学館は相賀家の継承者が出版人として紹介されている。それらの人々のプロフィールが、独立して記載されているので、世襲制の多い日本の出版社がどのような人物によって担われてきたかを知ることが出来る。また巻末の出版社の団体名索引や人物索引も便利で、出版に関わる人は手許に置きたくなる事典である。
『出版文化人物事典─江戸から近現代・出版人1600人』
稲岡勝〔監修〕 A5・550p 2013.6刊
定価14,910円(本体14,200円)
ISBN:978-4-8169-2417-0
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植田康夫「手許に置きたくなる『出版文化人物事典』」
これまで、各種のデータベースとなる書籍を刊行してきた日外アソシエーツが、出版文化にたずさわった人物を紹介した稲岡勝監修『出版文化人物事典 江戸から近現代・出版人1600人』を刊行し、紀伊國屋書店から発行した。A5判534頁の体裁で14910円の定価(税込)である。この事典は副題にあるように、江戸から現代に至る出版人1638人を収録しているが、出版社の創業者・経営者、編集者から、取次・小売・印刷、古書・装丁・特装本制作・検閲まで幅広く収録し、生没年、経歴、受賞歴などのプロフィールに加え、一部の人物には参考文献を掲載している。
収録されているのは、いずれも物故者ばかりであるが、出版に関する人物事典としては、1996年に出版ニュース社から鈴木徹造著『出版人物事典』が刊行されているが、この事典は6百余名が収録されていた。だから、今度刊行された『出版文化人物事典』は、それよりも1千名も多く収録されていることになるが、そのためにこの事典はこれまであまり知られていない出版人も数多く紹介され、それらの人物がよくしられた出版人とまじりあうように掲載されている。
たとえば、〔あ〕の項目を引くと、青地晨(あおち・しん)その次に青戸陸子(あおと・むつこ)の名前があり読書人取締役という肩書に続けて、こんなプロフィールが記載されている。
〈〔生年月日〕昭和8年(1933年)4月8日/〔没年月日〕平成22年(2010年)9月5日/昭和33年書評誌「週刊読書人」の創刊に参加、長く現場の責任者として同社を支えた。平成6年読書人取締役〉
ちなみに、読書人関係では、初代編集長の巌谷大四(いわや・だいし)、専務だった橘経雄(たちばな・つねお)、2代目編集長の長岡光郎(ながおか・みつろう)などが収録されており、きめ細かな目配りがされていることがわかる。
読書人関係の出版人について紹介したのは、私自身が、この会社と関わりがあるからだが、もちろん、この事典には、出版人として有名な人も網羅されている。その中には、〔き〕の項目で登場する菊池寛(きくち・かん)などもいる。彼は流行作家になって以後、大正12年「文藝春秋」を創刊して、〈それまで版元の頤使に甘んじてきた文学者たちに独立した活躍の場を与えるとともに斬新な編集手法と内容で当時のジャーナリズムに多大な衝撃と影響を与えた〉とプロフィールで紹介されている。
文藝春秋関係では菊池の他に池島信平(いけじま・しんぺい)、上林吾郎(かんばやし・ごろう)、千葉源藏(ちば・げんぞう)、永井龍男(ながい・たつお)なども取り上げられているが、この事典では、同じ出版社に係わった人物を紹介することも行っている。たとえば、講談社、新潮社、小学館などは経営が世襲制であるから、講談社は野間家、新潮社は佐藤家、小学館は相賀家の継承者が出版人として紹介されている。それらの人々のプロフィールが、独立して記載されているので、世襲制の多い日本の出版社がどのような人物によって担われてきたかを知ることが出来る。また巻末の出版社の団体名索引や人物索引も便利で、出版に関わる人は手許に置きたくなる事典である。
〔「新風」2013年7・8月号(615号) 書店新風会 p.6-7より転載〕
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